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ツイッターに書ききれないことの保存場

セブチのHOME;RUNが燦然と輝く理由-Roaring Twentiesとアイドル文化-

どうも日本のTV番組でHOME;RUN初披露される?された?そうなので、セブチのHOME;RUNが今年(私の中で)燦然と輝いていた理由を(超主観的に)ぶちまけます。(ここはSubjectivityの墓場です)

SpotifyのWrapped report2020は皆さんご覧になりましたか?(すいません、英語環境下なので日本語版でどのように表示されているのか知らないのですが、Annual reportみたいなやつです、今年あなたが一番聞いたジャンルは…みたいなやつ)実は、私が今年一番聴いた曲は、なんとSEVENTEENのHOME;RUNでした。この曲リリースされたのが下半期だったにも関わらず、です。

なので、HOME;RUNが今年燦然と輝いていたって私が勝手に断言しているんですね(ザ・自分勝手)

で、今回この曲の何に惹かれた(轢かれた)のかを、スウィングジャズ、ボディドリービート、狂乱の20年代アメリカを軸に自己(?)分析します。(自己はアメリカか?)

大変申し訳ないのですが、歌っておられるセブチの皆さまに置かれましては、人数多すぎてたじろいでしまい、まだ沼落ちには至っておりません。(Hip-Hop、Vocal、Performance Unitがあるって知って「…会社か?」ってなった)(ですのでNCTさんに至っては大人数具合に「国なのかな」と思っています。それも1国じゃなくて23国くらい国ができちゃうくらいの、それユニオンじゃん!European Unionみたいな!)

でも大変気になる存在ではありますので、沼への勧誘お待ちしています。

では、まずはじめにMV置いとくんでみてくださいね。

youtu.be

 

1か月で201回も聴いたHOME;RUNー私のSpotifyのレポート

HOME;RUNの分析に入る前に私のSpotifyレポート見てください。

まず今年1番聴いたのはHOME;RUNです、下記の通り。 

f:id:tanakadesukedo:20201208051747j:plain

spotify result; the song I listened the most

で、私が初めてこの曲に出会ったのは11月9日だったらしいんですね。

f:id:tanakadesukedo:20201208051751j:plain

spotify result2; first streaming

で、2日後の11月11日になんとすでに100回聴いてるらしい(大爆笑)

f:id:tanakadesukedo:20201208051742j:plain

spotify result3; 100th stream

で、最終的に201回聴いたらしいです。アホなんか?お前(そうですね)

f:id:tanakadesukedo:20201208051737j:plain

spotify result4; total stream

というわけでHOME;RUNを200回以上聴いていた私がこの曲がどうして燦然と輝いているかをぶちまけます。

 

Home;Runのベースは、スウィングジャズ; 

この曲のベース(ここではインスピレーションの元ネタという意味でベースと言っています)となっているものはスウィングジャズです。ジャズに詳しくなくてもデュークエリントンとかルイ・アームストロングとかいう名前なら一度聴いたことがあるのではないでしょうか。(こういうやつhttps://youtu.be/cb2w2m1JmCY) シャッフル(三連符を基本としたリズム、タッタタッタとかチャッチャカチャッチャカみたいな。超伝わらないね笑)を基本としているのが特徴ですね。

で、このスウィングジャズのオリジンが20年代ダンスホールなんですが(アメリカの話をしています)、このU.S.の20年代については後でもう一度触れます。今はジャズに関して。 

このスウィングジャズテイスト、ソニックマーカー(日本語で何て言うのかわからないのだけど、その音楽を特徴づけるような印って意味です)がしっかりしているので料理しやすく、ミュージカルでも相性が良く、魅せるパフォーマンスをするアイドル文化にはとても馴染みやすいので、例えばモーニング娘。の「Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~」とか日本でもアイドルがスウィングを扱っていたりします(これは宝塚っぽさもあるね)。

youtu.be

で、問題はK-popの文脈でこれどう料理してるんですかって話ですが(K-pop歴クソ浅いので超絶主観で申し訳ないのですが)K-popってとにもかくにもEDMベースにシンセとか空間系エフェクト使いまくってダンスを魅せるための効果音は曲の中にあらかじめ全部入れときますんで!みたいなところないですか?(そうですか)

HOME;RUNの場合、エレべのフレーズの処理の仕方がブイーン(スライドさせて止めるやつ)みたいなのまんま残してロックっぽい強さが出てるし(スウィングジャズ方向に曲の感じをもっと振るんだったらウッドベースっぽさ生かした音処理、ボワン、みたいな音処理するのに)(伝われ)、あと2サビ前になんかギュイーンみたいなエフェクト入ってて特撮っぽいし(個人的感覚)そういった小さなところにいちいち私はK-popっぽさを感じました。

かと思うとでB chorus(例0:41-0;49)はトリオ(ドラム、ベース、ピアノ)でシャッフルしているシンプルドストレートジャズをしていて、K-popっぽさ皆無です。かと思うと、ブレイクとブリッジ(2:21-2:41)では普通の楽器軍に加えて何かよくわからん楽器使ってるし(はじめサックスかと思っていたのですが、にしは癖が強い)で、調べてみたらアジアン民族楽器を使ってるらしいんです、これによると;
www.teenvogue.com

アジアン民族楽器とか言っても様々なタイプがありますが、聴く限りスオナ的なダブルリードを使ってますよね。

さらに、ストラト(断定)のカッティングがちゃきちゃき聴こえてきたり、でもそれって多分70-80年代入ってからのシグネチャーだからちょっと時代ミックスしてたりして。

まあとにかく、最初聴くと「お!王道のビッグバンドですね!」となるHOME;RUNですが、聴いて聴いて聞き倒すほどにたくさんのNon-Swing jazzなソニックマーカー(楽器や音処理)が見つかり、じゃあ逆に何がスウィングジャズたらしめるのか?みたいなこと考えたりして、常に新しい発見がある所が、この曲が燦然と今年輝いた理由その1です。 

Bo Diddley Beatの変形攻撃

HOME;RUNが燦然と輝くもう一つの理由がBo Diddley Beatっぽさがあるところです。

Bo Diddley Beatというのは、ブルースギタリストBo Diddley(ボディドリー)を代表するリズムで(彼自身はアフリカンアメリカンの伝統リズムから引用してるんですけど)ドッタッタータッタンっていうリズムのことです(ひどい解説)(譜面起こしたものがWiki先生にあるから見て→Bo Diddley beat - Wikipedia

私このリズムが大好きなんですね(知ったことかって感じだろうけど)

元ネタのBo Diddleyがこちらで

youtu.be

例えばPrimal Screamとか

youtu.be

ガンズとか

youtu.be9

で、この変形バージョン(スウィングさせたバージョン)がHOME;RUNで使われているという私のこじつけ理論がありましてですね(そうですか)イントロのエレべとピアノのユニゾンの箇所なんですけど(D,D,A,G,A,G,F)、このBo Diddley匂わせリズムがHOME;RUN輝きの元となっています(私の中で)。

加えてこのBo Diddley Beatをビートとして(ドラムやベースとして)使わず(Bo Diddley Beatて名前なんだから普通低音ビートのグループでやる)、あろうことか、うわもの(ベースより上の音域にいる楽器、ギターやらエレピやら声やら)で使いよってきちゃったんですね。好き!!!(直脳)となりました。

 

BUMZUが絡んでいる…

それからHOME;RUNのクレジットに燦然と輝いておられますのが、BUMZUニム。NU'EST(この人たちも私いまだよく存じませんが、アルバムThe Nocturneは好きすぎて5億回くらい聴いた、今度これもブログで喚き散らしますね。Bumzuニム絶対Joe Emerson&Donnie Emerson参考にしたと思う、とか)SEVENTEENの楽曲に中心に関わってるっぽい(By Wiki Bumzu - Wikipedia)んですけど、たぶん私この人との音楽的相性めっちゃ良い...(突然のおこがましさ)

これがHOME;RUNが燦然と輝く理由その3です(雑)

超最近だと、BTSのJINが自身のお誕生日2時間前にSoundCouldにあげてた名曲Abyssの作曲家でもありますよー。

 

Roaring twentiesにみる文化的豊かさと虚しさ、共鳴するアイドルという不思議な職業

さて、スウィングジャズの話に戻りまして、この音楽が勃興したのが20年代アメリカ、よくRoargin twentiesと言われます。日本語だと狂乱の20年と訳されています。

この時代はジャズエイジとも呼ばれるほど文化的にはなひらいて、大衆がいろんなものを消費しまくってグルングルン経済回して、もう全部上昇じゃー!みたいな時代でした(すごく雑な解説)。と、同時にこの明るい時代に白人が上昇気流に乗る裏で、主にアフリカンアメリカンやその他の貧困地域で犯罪が蔓延するスラムが形成されました。社会全体が躁鬱で、それが同時に起こっている感じです。(詳しくは下記)

www.history.com

で、なんたかこの躁鬱の二面性ってものすごくアイドルの文化に似ているというか、Roaring Twentiesの光も闇も、アイドルという構造とものすごく共鳴している気がするんです。

表舞台できらびやかに歌って踊って人気を獲得してファンの心をわしづかみにして…これが躁鬱の躁の部分。でも裏ではもしかしたら自分自身とパフォーマーとしての自分との乖離に苦しんでいるかもしれないし、でもファンはそこも含めて消費してるわけです、不健全な仕組みですね。また、アイドル文化の構造的に、ファンが応援すればするほどそれはファンの経済的搾取にもあたります。搾取といえば、アイドル自身も過酷な労働環境で労働力を搾取されているわけで、なんか表舞台に隠された闇がとてつもなくでかく、その二つは同時に起こっている...みたいな。

1920年代は、確かにきらびやかでUSの力が大爆発していたわけですが、その後に益々加速するナショナリズムや貧困格差、異質を排他する精神、と負の側面をブーストする作用もあったような気がするのです。アイドルもその存在自体が闇をブーストする作用をはらんでいますよね。

この、両者(20年代とアイドル文化)に共通する、甘美だけどものすごく危険をはらんだ空気、こそHOME;RUNがまとっている魅力のひとつのような気もします。(すいません、私アイドルにハマったのが人生で初めてなのでまだうまくこの文化になじめていないのかもしれない。)

Roaring Twentiesをインスピレーション元として持ってきた時点でHOME;RUNは必然的にその危険で魅力的な二面性を内包することになっているんです。

 

なーんて暗いこと考えながらこの底抜けに明るい曲を200回も聴いた自分にドン引きしつつこの記事を終えます。